いうまでもなく、歌の構成要素として作詞は作曲と並んで重要な要素です。聞く人の心を言葉で掴み取るのは決して簡単ではありませんが、自分で歌を作るなら歌詞を考えるのは避けては通れない道です。
とはいえ、いざ作詞を始めようとしてもうまくいかずに断念する人たちもいるはずです。実際のところ、作詞を行うにあたって、どのようなことが重要なのでしょうか?
この記事では、作詞でやってはいけない5つのことをまとめています。また、作詞が恥ずかしいと感じたときの対処法も紹介しているので、歌詞を考えようと試みている人たちは参考にしてみてください。
作詞でやってはいけない5つのこと
さて、作詞でやっていけないことには、どのようなことがあるのでしょうか?
ここでは、基本的なことを含めて5つのやってはいけないことを紹介していきます。
その1 他人の歌詞をコピーする
第1に、他人の歌詞をそのままコピーするのは盗作なので絶対にやめてください。最悪の場合、著作権侵害で訴えられるおそれがあります。
加えて、自分にその気はなかったとしても、あまりにも似た歌詞を作って作品にしてしまうと、相手側から問題視されるかもしれません。したがって、完成した歌詞が他人の著作物を侵害していないかをチェックする必要があります。
当然ながら、自分の感情や思考を表現することが作詞の醍醐味であり、他人の歌詞を模倣するのはアートとは言えません。もちろん、だれかに影響を受けざるを得ないのが人間ではありますが、コピーは絶対にやめましょう。
その2 抽象的な表現を使いすぎる
第2に、抽象的な表現を過度に使用するのは控えたほうがよいでしょう。
もちろん、感情や思考を言葉で表現するにあたって抽象的な概念を使用することはよくあります。けれども、その数があまりにも多すぎると、聴き手は歌詞の意味をよく理解できずにメロディから言葉が抜け落ちてしまうおそれがあります。
例えば、「愛」や「喜び」などの感情を表現する際に、具体的な状況やエピソードを加えると、聴き手にとってより理解しやすく、感情移入しやすくなるわけです。「作詞に答えはない」と言えば、それまでなのですが、抽象と具体を往還させる言語力がないと独りよがりな歌詞になってしまうでしょう。
その3 メロディやリズムを無視する
第3に、メロディやリズムに合わない歌詞を書いても意味がありません。
当たり前の話ですが、歌詞はメロディや不可分の関係なので、作詞家の思想を中心にしすぎると音楽のバランスが崩れてしまいます。そもそもトラックそれ自体にも情緒があり、それに適した言葉選びをしないと雰囲気が合わずに違和感が生まれてしまうわけです。
加えて、日本語は1音で1文字の関係で成り立ちやすいので、メロディで表現できるテキストはある程度限定されます。それを無視すると、歌にならないので注意してください。
その4 他人と比べる
第4に、自分が作成したテキストを他人と比べて修正すると内容がブレてしまうので注意しましょう。
無論、世の中で有名な歌詞を研究するのはよいことです。一流に触れることで自分の感性が磨かれるので、優れた他者を参考にするのは近道であるとも言えます。しかしながら、他人の表現から自分の作品をジャッジしすぎると、本当の自己表現が何なのかがわかならくなってしまいます。
大切なことは自分が生命を燃やして伝えたいメッセージと向き合い、そのエネルギーを言葉として形成するために他者の力を借りることで、自己否定のエビデンスとして用いるのはおすすめしません。
その5 最初から完璧を目指す
第5に、最初から完璧を目指しすぎると、いつまでもテキストが完成しません。
当然ながら、作詞に妥協は禁物です。アートとしての言葉と向き合うにあたって、怠惰は表現を腐らせる危険性があります。けれども、だからと言って、いつまでも時間をかけてダラダラと文章を改善し続けると、終わりが見えずに作品を世に出す前に人生が終わってしまうでしょう。
実際、この世に完全無欠の歌詞は存在せず、時間が経てば至らないように見えるものです。大切なのは、覚悟を決めて、書ききることです。そして、終わりを決めないと、常に始まりを作ってしまうので永遠と作業できると錯覚してしまいます。しかし、それは幻想なのです。
作詞が恥ずかしいときの対処法
なお、作詞なんて恥ずかしいと感じる人もいるはずです。実際、気恥ずかしさを感じて前に進めないときは、どうすればよいのでしょうか?
ここでは、具体的な対処法を3つ紹介していきます。
方法1 自分の感情を認める
第1に、「自分の感情を認める」という対処法があります。
そもそも恥ずかしいと感じること自体は、人間として当然の感情です。そんな自分自身の感情を否定せずに、まずは認めてあげましょう。それは、自分自身を理解し、受け入れる大切な一歩となります。
その上で、恥ずかしくない表現はないと割り切って、思い切って他人に見せて傷つくことに慣れるべきです。繊細な感情を踏みにじられると辛いですが、それが表現者の宿命なのです。
方法2 小さなステップで挑戦する
第2に、「小さなステップで挑戦する」という対処法があります。
最初から大きなステップを踏む必要はありません。まずは、自分だけで歌詞を書いてみる。それができたら、次は信頼できる友人や家族に見せてみる。徐々に挑戦のステップを上げていくことで、自信をつけることができます。
何事も焦りは禁物です。目の前のゴール設定を間違えて、理想に滅ぼされる現実はたくさんあります。しかし、本気で作詞するなら、自分の足元を見るべきです。自らの限界を現実から見定めて、地道な挑戦を積み重ねることで大きな目標に到達できるようになるでしょう。
方法3 フィードバックを受け入れる
第3に、「フィードバックを受け入れる」ことが大切です。
他人の意見を恐れる必要はありません。むしろ、他人からのフィードバックは、自分が見落としていた点を発見したり、新たな視点を得る良い機会です。
しかし、全てのフィードバックが自分にとって有用とは限らないので、自分自身の感覚を大切にしながら、フィードバックを吸収していきましょう。
ありのままを磨いて表現しよう
言葉は読む人によって意味を自在に変化させる不思議な存在です。そのため、ときには、自分の意図とは全く違う方向で解釈されてしまう危険性があります。もしかしたら、それがきっかけで傷ついて作詞なんてやめようと諦める人もいるかもしれません。
けれども、もしかしたら、あなたの一言が救いになるリスナーもいるかもしれません。万人から受け入れられなかったとしても、あなたのありのままを磨いて表現した作詞を喜ぶ人が一人でもいるなら、全国でそれなりの人が共感してくれる可能性があります。そのことを忘れずに挑戦してみてください。
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