ディズニーは2023年10月16日で100周年を迎えました。「1世紀」という長い歴史を持つ世界で最も有名なエンターテイメントコンテンツの地位を築き上げたと言えるでしょう。しかしながら、ここ数年、ディズニーの取り組みに対してネガティブな意見を持っている人たちもいるようです。
時代の中で試行錯誤は当然です。時には、批判を受けながら、それを活かして前進し続けるコンテンツが最後まで残り続けることはいうまでもありません。とはいえ、これだけ多くの人々を楽しませているディズニーに対して、どうして否定的な意見を持っている人たちがいるのでしょうか?
この記事では、最近のディズニーがおかしいと言われる理由について考察しています。近年の動向についてモヤモヤしている人たちは参考にしてみてください。
最近のディズニーがおかしいと言われる4つの理由
さて、「最近のディズニーがおかしい」と感じている人たちがいるのは、どうしてなのでしょうか?
一概には言えませんが、ソーシャルメディアに投稿されている意見を参照して4つの視点から理由について紹介していきます。
理由1 ポリコレを意識しすぎている
第1に、ディズニーがポリコレを意識しすぎていることを非難する声があります。
ポリコレとは、ポリティカル・コレクトネス(political correctness:政治的公正)の略称で社会に存在する特定のグループに所属する人たちに対して不快感や不利益を与えないように意識した中立的な表現を意味しています。すなわち、ディズニーはポリコレを意識した表現に「偏っている」というわけです。
例えば、リトルマーメイドの実写版映画で主人公アリエルに黒人俳優で歌手のハリー・ベイリーが起用されました。ディズニー側は彼女の美しい歌声を採用の理由としているものの、ファンたちからは否定的な意見が相継ぎました。無論、人種差別は愚かな行為として非難されるべきです。
しかし、これまでのビジュアル・イメージをいきなり崩すのは世界観を喪失させる行為であり、この手の批判が生まれることは予見できたはずです。それにもかかわらず、形式的なポリコレを優先した結果、みんなが傷つく結果を招いたと考えられます。
公平性にこだわるあまりに映画の世界観が中途半端になって、「最近のディズニー映画はつまらない」というネガティブな感想がソーシャルメディアで頻繁に投稿されるようになったのです。
理由2 ゲストのマナーが悪くなった
第2に、ゲストのマナーが悪くなっていると感じる人たちもいるようです。
たしかに、ソーシャルメディアやYouTubeの撮影のために、周囲の迷惑を顧みない人たちが目立ちやすくなったのかもしれません。こうした状況を鑑みて、ディズニーランドでは、商業目的の動画撮影が禁止されました。これに関しては、公式HPでも次のように記載されています。
パーク内で写真や動画の撮影をしてもいいですか?
撮影は可能ですが、施設や場所によっては、撮影をご遠慮いただくことがございます。詳しくは、当日キャストにご確認ください。
※商業目的の撮影、他のお客様のご迷惑となる撮影および公衆送信はお断りします。
東京ディズニーリゾート公式HP『よくあるご質問』より引用(最終確認日:2024年1月17日)
加えて、訪日外国人が爆発的に増えていることからマナーが悪い人たちが増えた印象を持っている方もいるかもしれません。もちろん、海外からの観光客でもモラルを持っている人たちはたくさんいます。しかし、どうしても日本人から見て非常識な行動を取る人たちが目立ってしまうわけです。
その結果、昔よりもパークの利用環境が悪くなったと感じる人たちもいると考えられます。実際に、嫌な思いをしている人たちもいるので、改めてキャストを中心にマナー違反を上手に諭すコミュニケーション能力が必要であると考えられます。
理由3 キャストの質が落ちている
第3に、キャストの質が低下していると感じている人たちもいるようです。
東京ディズニーランドや東京ディズニーシーは数十年という歴史があるため、初期から来園している人たちはキャストの対応やパフォーマンスに関する変化を敏感に感じ取っていると考えられます。もちろん、なかには、1人のキャストに対するネガティブな印象を全体にまで拡大している人もいるでしょう。
加えて、先述のとおり、昔とは違って客層や利用者の性質が変化しているのも事実です。とりわけ、ルールを破る人たちへの対応についてキャストの責任を問う人たちもいます。また、ソーシャルメディアが利用されるようになって、利用者の不満が見えやすくなったという問題もあると考えられます。
いずれにしても、時代状況の変化に応じてキャストのサービスを変える必要はあるのかもしれません。
理由4 転売対策が甘い
第4に、グッズの転売対策が甘いことから怒りを露わにしている人たちもいます。
周知のとおり、ディズニーランドやディズニーシーでは、定期的に限定グッズが販売されています。ファンからすれば、自分の好きなキャラクターに関わるものなら何としても手に入れたいですよね。けれども、悪質な転売事業者が限定グッズを買い占めて、高額で販売するという問題が今もなお起きているのです。
限定グッズの再販がなければ、定価以上の値段で買うしかないので最悪ですよね。ディズニー以外の商品でも転売ヤーの買い占め行為で迷惑を被る消費者がいるわけですが、購入制限や再販通知などの具体的な対策を実施している事業者が増えています。
もちろん、モラルを欠いた転売ヤーに問題があるのですが、事業者側が積極的に対策を講じなければ、ファンがいつまでも搾取され続けてしまいます。なかには、オリエンタルランドの対応に不満を抱く人たちもいるでしょう。
混みすぎてつまらないのか?
なお、「パーク内が混みすぎてつまらない」と感じる人たちもいるようです。たしかに、東京ディズニーランドや東京ディズニーシーの来場者数はコロナの影響があって一時的に急減少したものの、それ以前は順調に伸びていました。すなわち、昔よりもはるかに混むようになったわけです。
その結果、「あの頃はもっと余裕があった」なんて過去の記憶を回想してつまらなく感じてしまう人もいるのかもしれません。
とはいえ、ディズニーランドやディズニーシーは日によっても混み具合が違います。もし、人混みで溢れていたとしても、プレミアムアクセスやハッピーエントリーなどの特典をうまく活用すれば、待ち時間を短縮してパーク内の体験が充実します。
おそらく。「混んでいるからつまらない」と感じる人たちは、人気のテーマパークが不向きなのかもしれません。冷静に考えると、開園当時はアトラクションの数も少なかったので、今よりも待ち時間が長いこともあったはずです。
どうしても一定数は不満が出るので、こればかりは仕方がないことなのかもしれません。
SNSが不満の声を見える化した
「最近のディズニーがおかしい」という声として、最も大きいのは表現に関する「ポリコレ」です。社会全体として差別表現に対する批判が強くなるのは良き傾向に違いありませんが、形式だけが強調されるとクリエイティブの柔軟性がなくなってしまうため、つまらない内容になってしまうおそれがあります。
こうした不満はSNSが当たり前に使われるようになった時代からこそ見えやすくなったと言えます。それに迅速な対応をみせるかどうかで「ディズニー離れ」の抑制にも繋がるはずです。もちろん、無闇矢鱈にネガティブな意見に左右される必要はないものの、その意見に影響を受ける消費者がいるのも事実です。
今後、ディズニーがどのようにスタイルを変えていくのか。新しい時代の中でも残り続けるコンテンツとしての底力が試されているかもしれません。
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