みなさんのなかにも、Official髭男dism、通称「ヒゲダン」が好きな人たちもいるはずです。ミックスボイスで透き通った高音から奏でられる楽曲はどれも魅力的ですよね。
特に、Pretender(プリテンダー)は長澤まさみ主演映画「コンフィデンスマンJP」の主題歌にもなって、爆発的なヒットソングとして世の中に注目されました。大ヒットした曲は多くの人たちによって聴かれるからこそ、いろんな解釈が生まれるのも現実です。どうやら、歌詞が「ひどい」と感じている人たちもいるようです。
この記事では、プリテンダーの歌詞がひどいと誤解される理由を解説していきます。言葉の捉え方は人次第で変わってしまいますが、表層的な論理ではなく言葉が紡ぎ出された背景に思いを馳せながら音楽を楽しむきっかけになると幸いです。
プリテンダーの歌詞がひどいと言われる理由
さて、そもそもヒゲダンの「プリテンダー」の歌詞が「ひどい」と誤解されるのは、どうしてなのでしょうか?
その理由は大きく3つあると考えられます。
理由1 歌詞の意味がよくわからない
第1に、プリテンダーの歌詞が意味不明であるという理由があると考えられます。
ここでは、理解するのが難しい歌詞の一部を抜粋してみましょう。
この数行でも主人公の葛藤が見え隠れする複雑な恋愛感情が伺えます。
すなわち、「運命の人は自分ではない」と言いながらも、失いたくないという気持ちがある。自分との関係性をはっきりさせると、続きようのない中途半端なものだとわかっているけれど認めたくない。
一般的な恋愛しか経験したことのない人たちからすれば、あまりにも起伏の激しい表現なので意味がわからなくなるのも頷けます。情緒の不安定さから「やばい」と感じる人もいるでしょう。
しかし、他人を好きになると、一喜一憂するのも現実です。だからこそ、プリテンダー から生々しさと素直さを感じる人もいるのではないでしょうか。
理由2 不倫や浮気の歌に感じる
第2に、不倫や浮気の歌に感じることから被害に合った経験のある人たちは違和感を抱くようです。
例えば、次のような歌詞は恋人のいる相手と不倫や浮気していることを想起させます。
たしかに、「好き」と純粋に伝えることが憚られる理由として、相手に彼氏や彼女がいると考えるのは納得感がありますよね。けれども、「その髪に触れるだけで……」という表現があることから、肉体関係はあるのかもしれません。相手のパートナーからすれば、とんでもないことですよね。
過去に浮気や不倫で傷ついて経験のある人たちからすれば、「ひどい」と思うのも無理はありません。しかしながら、何かを本気で表現する以上、万人受けするような世界観を描くことは難しいでしょう。むしろ、この立場がわかる人にとっては救いの手になるかもしれないのです。
理由3 一般的な恋愛観が通用しない
第3に、主人公には一般的な恋愛観が通用しないことから、幸せになれそうにない「ひどさ」を感じるのかもしれません。
具体的には、次のような歌詞から本人の恋愛観が一般ではないことが伺えます。
いうまでもなく、ほとんどの人が恋愛に興味を持っているからこそ、無数の哲学が世間では展開されています。そのどれを聞いたとしても、今の自分には当てはならない。その苦しさが表現されています。いわゆる、好きになってはいけない相手に惚れてしまった以上、ボロボロに傷つくひどい結末が待っているかもしれないのです。
けれども、だめだとわかっていても、心がついていかないのが恋愛の難しい現実です。だれしもが自分を大切にしてくれる素敵な人と結ばれるとは限らないのです。
プリテンダーの歌詞はやばいのか?
以上を踏まえると、Official髭男dismのプリテンダーはやばい楽曲なのでしょうか?
聞く人の状況によって評価は分かれるものですが、プリテンダーは禁断の恋に胸を痛める人の素直で複雑な感情を描いた名曲です。「やばい」と感じる人たちもいるかもしれませんが、プリテンダーの主人公のようなケースは現実に存在します。
その立場だからこそ生じる葛藤が歌詞にうまく描かれているだけではなく、一度聞いたら忘れられないサビやテンポが合わさって、プリテンダーはやばいくらいに素敵な曲に仕上がっているのです。
君は綺麗だの意味は?
最後に、サビの最後を締めくくる「君は綺麗だ」という表現について考察していきます。実際、この歌詞だけが意味が分からずに困惑している人たちもいるはずです。
もちろん、歌詞の真意は作詞を担当した本人しかわかりませんが、「君は綺麗だ」は唯一、その言葉だけが相手と自分を繋ぐ言葉であると考えられます。すなわち、決して結ばれてはいけない相手である以上、「好き」という恋愛感情を象る言葉は絶対に伝えられません。
実際、プリテンダーの主人公は自分の感情に強い葛藤を抱えており、単純な恋愛感情ではないことは明らかです。しかし、「美しい」という感覚だけは表現しても矛盾は生じない確かな事実だからこそ、本人にとって嘘のない言葉なのでしょう。
冷静に聞いてみよう
世間的に言えば、浮気や不倫は決してよいものとは言えません。場合によっては、お互いに家庭を壊して、たくさんの不幸を生み出す行為だからです。
しかし、現実には、好きになってはいけない相手に恋をする人たちは、たくさんいます。その人たちにとって、プリテンダーの歌詞はストレートに響くのではないでしょうか。
改めて、冷静に聞いてみたときに、やっぱり「ひどい」と感じる人もいるでしょうが、それは自分が恵まれた恋愛ができている証拠なのかもしれません。
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