ジブリ『君たちはどう生きるか』が意味不明でつまらないと誤解される理由

ジブリ『君たちはどう生きるか』が意味不明でつまらないと誤解される理由

2023年に公開された宮崎駿監督が制作したジブリ映画『君たちはどう生きるか』は、興行収入196億円を突破する大ヒット作品となりました。特に、本作品は世界的にも注目されており、ゴールデングローブ賞を獲得するという歴史的快挙を成し遂げています。

しかしながら、映画を視聴した人たちのなかには、「意味不明でつまらない」という感想を抱いた人たちもいるようです。いわゆる、百万人規模の視聴者がいることを考えると、ネガティブな評価が生まれるのも仕方がありません。とはいえ、なぜそのような見解になってしまったのでしょうか?

この記事では、ジブリ『君たちはどう生きるか』が意味不明でつまらないと誤解される理由について考察しています。作品の評価について考えている人たちは参考にしてみてください。

目次

『君たちはどう生きるか』が意味不明でつまらないと誤解される理由

さて、ジブリ映画『君たちはどう生きるか』について「意味不明でつまらない」と酷評する人たちがいるのはどうしてなのでしょうか?

当然ながら、作品の評価は見る人の趣味嗜好や感性によって異なるのが当たり前です。けれども、宮崎駿という天才が手掛けた作品をネガティブに評価する理由は気になりますよね。ここでは、X(旧Twitter)に投稿されている関連の投稿を参照して、その理由について考察していきます。

理由1 読解力が問われる

第1に、物語の読解力が問われることから意味を捉えられずにつまらなかったという人たちもいます

いうまでもなく、ジブリ映画では、宮崎駿監督の思想が至るところに反映されています。特に、本作品は「君たちはどう生きるか」という人生に対する強い問いかけを根幹に据えているテーマであることから、過去の作品よりも抽象度の高い比喩表現が多かったと考えられます。

もちろん、アニメーションという性質上、老若男女が楽しめる作品に違いありません。けれども、「物語の背景をちゃんと理解しよう」という姿勢で視聴すると、かなり難解であるのがジブリ映画の特徴です。知的な階層から支持される秘密は宮崎駿監督が随所に散りばめている複雑な設定にあるとも言えます。

もし、作品の物語についていきたいのであれば、エンタメ分野に精通する人たちが公開している解説動画や解説記事を読むのも選択肢のひとつです。この手の仕事で一番おすすめなのは、岡田斗司夫さんです。ジブリ作品の背景を動画で非常にわかりやすく伝えているので是非一度、ご覧ください。

理由2 過去の作品と比べて複雑だった

第2に、宮崎駿監督が生み出してきた大ヒット作品の『となりのトトロ』や『千と千尋の神隠し』などの作品と比べて複雑だったことから、意味不明でつまらないという評価を下す人たちもいるようです

たしかに、これらの作品は『君たちはどう生きるか』よりもストーリーがシンプルでわかりやすい特徴があるのかもしれません。もっと言うと、視聴者が見方を完結させやすい作品だったのです。その基本的な仕組みとして、物語の起承転結がしっかり機能していました。

しかし、『君たちはどう生きるか』は従来の構成よりも少しばかり複雑になっている気がします。そのため、油断していると視聴者は置いてかれてしまうわけです。過去の人気作品から受けた期待感をそのまま本作品に抱いてしまうと、ショックを受けてしまうかもしれません。

「わかる人にはわかる」という視点が嫌いな人が本作品を酷評するのもわからなくもありません。とはいえ、『君たちはどう生きるか』というタイトルですから、「宮崎駿監督の視点に合わせて映画を楽しむ」という姿勢があってもよいのではないでしょうか。

理由3 過剰な期待を生んだ

第3に、本作品は広告・宣伝をせずに事前情報がほとんどない状態で放映されたことから、視聴者の中には過度な期待を持った人たちもいました

特に、「『君たちはどう生きるか』は宮崎駿監督が制作する本当に最後の作品である」という噂も広まっていました。そもそも宮崎監督は『風立ちぬ』の発表後に、長編アニメーションに関して引退することを宣言していました。実際に、記者会見の様子がYouTubeでも視聴可能です。

しかし、2017年に再起を決意し、『君たちはどう生きるか』の制作が始まったのです。

そのため、「これは過去の作品を大幅に超えてくるに違いない」という期待を抱いた人たちが数多くいたと推察されます。それが「想像していたよりも微妙だった」という感想を持ちやすくさせたのかもしれません。これは心理的な問題とも言えます。

一方で、すでにジブリ映画は人々に最大級の感動を与えており、過去の作品も最高傑作というべきものばかりです。その意味では、どの作品も比較して優劣をつけられるようなものではなく、あくまでも個々人の感じ方が視聴時に違うだけに過ぎないのです。

評価は常に分かれる

ジブリ映画にかかわらず、数多くの人たちが見る作品の評価は必ず分かれていきます。万人が「Yes」と心の底から思うような表現はこの世にはまず存在しないと言ってよいでしょう。事実、『君たちはどう生きるか』について意味がわからないと言う述べる人もいますが、面白いと評価する人もいます。

視聴者が受け取るものは一様ではありません。その意味では、「つまらない」と評価されることもあるでしょう。けれども、自分が生きている人生の状態に応じて感じ方も変わるはずです。幼少期はつまらないと感じていたけれども、大人になってみると感動したというケースもあります。

したがって、作品の価値を今だけで決めすぎないことも重要です。もちろん、感じ方は自由です。意味がわからなくてつまらないと感じることが悪いわけではありません。ただ、宮崎駿監督が心血を注いで制作した作品を罵倒するように酷評するのはやり過ぎです。

お金を払っているんだから客としてジャッジするのは当然だという意見もわかります。しかし、表現に対して理解を深めると急に面白く感じるのも不思議なことです。ぜひとも、意味不明でつまらなかったという人たちは一度、解説動画を見てみてください。

ジブリ『君たちはどう生きるか』が意味不明でつまらないと誤解される理由

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