Spotify(スポティファイ)を使っている人たちのなかには、フリープランで楽曲を無料で聴けることに対して疑問を持っている方もいるかもしれません。たしかに、ランダムで再生されるものの、フルで音楽を聴けるのに金銭が一切発生しないのは謎ですよね。
実際のところ、Spotifyでは、お金を支払わずに音楽を聴けるのはどうしてなのでしょうか?
この記事では、Spotifyが無料で音楽を聴ける理由について考察しています。また、有料のプレミアムプランとの違いもわかりやすくまとめているので、Spotifyの仕組みについて知りたい人たちは参考にしてみてください。
Spotifyが無料なのはなぜ?
さて、Spotifyが無料で楽曲を提供できるのは、なぜなのでしょうか?
その理由は大きく3つあると考えられます。
理由1 広告で収益化している
第1に、Spotifyが無料で楽曲を提供できるのは、フリープランの対象者に企業広告を出すことでマネタイズしているからです。
Spotifyは音楽プラットフォームとして全世界で約5億人のユーザーを抱えています。すなわち、たくさんの人々が日常的に利用しているサービスだからこそ、広告事業を展開できるわけです。特に、Spotifyが提供する広告の視聴率は極めて高く、企業側として活用しやすいサービスになっています。
これに関しては、Spotifyの公式サイトで次のように記述されています。
それに加えて、業界基準を大きく上回っているのが、完全視聴率です。Spotifyの動画広告の完全視聴率は、実に91.7% (2020 3月時点 MOAT)にのぼります。
Spotify『完全視聴率91.7%!* なぜSpotifyの動画広告は「届く」のか』より引用(最終確認日:2023年5月18日)
以上のことから無料で楽曲を提供しても元が取れるので、Spotifyのフリープランが成立しているのです。音声広告の需要も少しずつ高まっていることから今後もSpotifyの広告事業は成長する可能性があると考えられます。
理由2 プレミアムプランに加入させる
第2に、Spotifyはプレミアムプランを無料体験させることで有料会員を獲得しています。
ご存知の通り、Spotifyでは、時期によって1ヶ月から最大3ヶ月の間でプレミアムプランの無料トライアルを提供しています。冷静に考えると、「長期間にわたって有料プランをタダで利用させるなんて損じゃないのか?」と疑問に思っている人たちもいるかもしれません。
しかし、3ヶ月の間でプレミアムプランの利用が習慣化したユーザーはフリープランに戻るときに不便さを強く感じるため、無料トライアルが終了したタイミングで正式に契約を行う可能性が高くなるのです。
この手法は有料と無料のプランを提供しているサービスがよく実行するグロースハックの基本的な戦略です。実際、LINEミュージックやAmazonミュージックも同様の戦略で会員獲得を行っています。
理由3 グローバルで成功している
第3に、Spotifyはグローバルで成功している音楽サービスであるため、無料で楽曲を提供するために大胆なアプローチが取りやすいとも言えるでしょう。
Spotifyの2021年における売上高は約114億ドルで今後、10年で1000億ドル規模の売り上げを出すことを目指しています。日本円にすると、すでに1兆円規模のお金が動いており、その規模感は国内のミュージックアプリでは太刀打ちできないようなレベルです。
その資本力があるからこそ、フリープランやプレミアムプランの無料トライアル期間を推進して一時的に収益が減るフェーズに入ったとしても、後から巻き返す経営上の体力があるわけです。最早、スタートアップ企業には手を出せない領域になっていると言えるかもしれません。
有料プランとの違い
それでは、実際にフリープランとプレミアムプランには、どのような違いがあるのでしょうか?
Spotifyの無料と有料のプランで提供されているサービスの比較は以下の表にまとめているとおりです。
利用できる機能 | フリープラン(無料) | プレミアムプラン(有料) |
---|---|---|
シャッフルプレイ | ||
広告ナシ | ||
スキップ無制限 | ||
オフラインでも聴ける | ||
好きなトラックをいつでも再生 | ||
高音質 |
実際、無料プランでは、自由に好きな音楽を選択して聴くことは不可能です。プレミアムプランと比べても、サービスの差は歴然であると言わざるを得ないでしょう。
それでも、フルで音楽を聞ける点では、フリープランでも十分に満足している人たちもいるはずです。広告さえ我慢すれば、音楽を聴くという意味では優れたサービスなのです。
無料トライアル期間で使ってみよう
Spotifyが無料で楽曲を提供できる背景には、広告事業、営業戦略、資本力といった複数の要素があるわけですが、総じて「無料」で顧客を釣ってトライアルで有料会員へと導く戦略は見事なものです。
みなさんも、実際に無料トライアル期間でSpotifyを利用してみてください。そして、フリープランになったときの格差を体験することでSpotifyの知略を感じるはずです。
タダより高いものはないなんて言いますが、サービスに自身があるならば、無料で提供してから有料にすることもできるんです。会員系プラットフォームは総じて、Spotifyから学べることは多いでしょう。
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