21世紀にアイドルブームを巻き起こしたきっかけは間違いなくAKB48です。特に、2006年にリリースされた「会いたかった」という楽曲で全国的に認知されるようになってからは破竹の勢いでエンタメ領域に浸透し、テレビでは見ない日がありませんでした。
しかしながら、2024年現在、AKB48の人気が急落したと言われています。確かに、当時の爆発的な人気は確実に失われつつありますが、何が要因なのでしょうか?
この記事では、AKB48の人気が急落した3つの理由を考察しています。また、「オワコン化を防ぐ方法はあるのか?」という疑問についても言及しているので、アイドル文化に興味のある人たちは参考にしてみてください。
AKB48は人気がないのか?
そもそもAKB48は今現在、人気がないのでしょうか?
結論から言えば、2024年現在、AKB48は全盛期と比較して確実に人気が落ちていると言えます。これはジャーナリストの松谷創一郎氏が作成した「AKB48・CDシングル初週販売枚数」の推移からも明らかです。以下、グラフを引用します。
Yahooニュース『【99人→34人】メンバー激減のAKB48が向かう先──K-POPに相対化されたJ-POPアイドル』より引用(最終確認日:2024年5月20日)
加えて、AKB48は紅白歌合戦の参加を4年連続で逃しています。その年に活躍したアーティストは必ずと言ってよいほど、声がかかる紅白に出場できないのは人気が落ちていることを証左しています。全盛期よりもライブ動員数も減っていることから、AKB48は確実に衰退しつつあると言えるでしょう。
AKB48の人気が急落した3つの理由
とはいえ、あれだけ一世を風靡したAKB48の人気が急落したのは、どうしてなのでしょうか?
ここでは、3つの視点から理由を考察していきます。
理由1 カリスマ性のあるメンバーがいない
第1に、AKB48の人気を牽引してきた前田敦子、大島優子、篠田麻里子などのカリスマ性のあるメンバーがいないことが人気がなくなった要因であると考えられます。
言うまでもなく、アイドルは人気商売ですからグループが有名でも個人に力量がなければ、ファンを集めることはできません。握手券を得るためにCDを何枚も購入したり、総選挙の投票権を獲得するためにお金をつぎ込んだりする狂気じみたファンたちを獲得するカリスマは確実に少なくなっているのです。
その背景には、アイドルを目指す側の選択肢が広がっていることも無視できません。すなわち、AKB48以外にも同じ系列のNMBやSKE、さらには韓国系の芸能事務所がプロデュースしているアイドルグループなど、魅力的なグループが複数ある中で才能のある人材を確保するのも難しくなってきているわけです。
理由2 他のアイドルが目立つようになった
第2に、AKB48のアイドルは歌唱力やダンスの技術はトップレベルではありませんから、実力派のアイドルが登場すると目劣りせざるを得ないことが理由として挙げられます。
はっきり言って、歌が下手なアイドルもいますし、ダンスパフォーマンスのレベルが低い人たちもAKBにはいます。これは昔から変わらない傾向です。
ある意味では、身近にいそうな親しみやすさがあるのが売りだったわけですが、本気で歌がうまく、芸能人としてプロと呼べるクオリティに達する人たちが同じことをしたときには勝つのは難しくなるのは仕方がありません。
実際、男女に限らず、韓国系のアイドルは日本のアイドルグループよりもレベルがかなり高いです。その結果、アイドルにハマる人たちの興味・関心がAKB以外のグループに流れるようになったと考えられます。要するに、アイドル市場がレッドオーシャン化し始めたわけです。
理由3 全盛期を超えられない
第3に、AKB48が過去に到達した全盛期を超えようとしない限り、かつての栄光を再び取り戻すことは不可能と言わざるを得ません。
しかし、アイドル市場を爆発的に飛躍させた当時のAKB48が実現した功績を、その後に続くアイドルたちが越えていくのは物理的に難しいと言わざるを得ません。
先述のとおり、アイドルも多様化しており、細分化されたマーケットで一強の地位を確立するのは最早、困難な時代です。その意味では、人気の急落は必定であり、避けられないという見方もできます。
オワコン化を防ぐ方法はあるのか?
残念ながら、今のAKB48がオワコン化を防ぐのは難しいを言わざるを得ないでしょう。もちろん、現在AKB48として活動するアイドルの中には、才能のある人たちもたくさんいます。けれども、戦っている舞台が依然とは大きく異なっており、過去の栄光を再び再現するのは現実的ではないのです。
むしろ、時代の変化に適用することがオワコン化を防ぐための基本的な姿勢であるはずです。すなわち、アイドルが多様化した今、AKB48のファン層が求めているニーズをアイドルグループとして反映しながら、これからのサブカルチャーが求めることを取り入れる視点が必要です。
韓国アイドルが歌やダンスの技術に秀でているならば、そこに追随するようなやり方では限られたパイの奪い合いで終わってしまいます。今、求められているのは、「AKB48でないといけない価値」を再発見することではないでしょうか。
決して、簡単に答えが出る話ではありませんが、原点に還るのではなく、変化を起点として新しい価値の表現を創出しない限り、このままゆっくりと衰退していくことは避けられないでしょう。
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